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季節の食にまつわることをお届けします 旬の食レポート

2015 Summer

身近な食のストーリー 体も心も喜ぶハーブ ヨーロッパ伝承のハーブの人気がますます高まっています。日本の土地に育つフレッシュハーブの畑を訪ねてみました。

育苗ポットが並ぶビニールハウスの中。定植や発送の時期を待つさまざまなハーブの若芽を眺める若井めぐみさん(お料理教室ヴェール エクラタン主宰)。「福山さんの愛情が感じられる場所ですね」

注目される日本のハーブ

ハーブとは人間にとって有益な薬効のある植物の総称。古代バビロニアの壁画に植物から抽出した精油を医療に使う様子が描かれているほど、人との関わり深い植物です。今では料理の香りづけや臭み取り、心を癒すお茶(ハーブティー)としてすっかりおなじみ。またその精油をヨーロッパの伝承医療や、化粧品の材料とする方法が今改めて注目される話題の植物でもあります。世界的に歴史のある西洋ハーブが日本に伝わり、私たちの暮らしに定着し始めたのはここ数年のこと。フレッシュなハーブを専門に育てる農家が増えたことで、店頭に並ぶようになったのです。おいしい生活、心地よい暮らしのためにぜひ取り入れたいハーブ。料理教室主宰の先生と生産者、ハーブの専門家のお二人にお話を伺いました。

Report! 手探りで始めた 有機栽培ハーブ農園は毎日大忙し

ハーブスマン’s農園オーナー
福山久之さんの暮らし

 今回は、オーガニックレストランや自然食品店で人気のハーブ農園「ハーブスマン‘s農園」にお邪魔しました。場所は太平洋と霞ヶ浦の中間に位置する茨城県行方市。雑木林に囲まれた緩やかな丘に広がる農園で、オーナーの福山さんが20代の頃、旅したアジアで出会ったハーブに惚れ込み、帰国後に有機野菜の販売などを学んだ後に、自身で切り拓いた畑です。

「20年前には新規就農という言葉もなく、オーガニック野菜の生産者さんと交流しながら学びました」と福山さん。目指しているのは大地や人にやさしい有機農法。自家採取した種を使い、苗作りから定植、収穫、乾燥や発送まですべてが手作業。さらにたい肥作りや野菜類との共生栽培、天敵を使う害虫防除など、常に自然な状態を生かす農法を考案しています。その努力が実り、今では「ハーブスマン‘s農園」を指名した注文が殺到。新規就農希望者が見学に来るほどになりました。

「この20年ほどでハーブの需要は一気に高まりましたが、日本全体での認知度はまだまだです。ふだんの暮らしの中でもっと自由にハーブが使えるようになってほしいですね」
収獲したハーブは出荷前に水道でさっと水洗い。「なかなか納得できる洗浄機がなくて」と、寒い季節も手洗いで。

乾燥作業も
古い家屋を乾燥部屋に。そろそろ完成というローリエは驚くほど肉厚でしっとり。
海外から届く輸入物とは大違いだ。

ハーブスマン’s農園
〒311-1701 茨城県行方市長野江131-1(問い合わせはメールで)

URL http://www.herbsmans.com/
char@herbsmans.com

愛情いっぱいのハーブ栽培

ハウス栽培(パクチー)

ハウス栽培(パクチー)

英名はコリアンダー。中国名はシャンツァイ。人気急上昇のハーブ(香辛野菜)で、出荷が追いつかないこともあるそうだ。

ハウス栽培(ローズマリー)

ハウス栽培(ローズマリー)

数年すると大木に育つ。殺菌、抗菌作用が高いスパイスで当園では枝ごと乾燥させて出荷。枝から葉をしごいて使う。

露地栽培(レモンバーム)

露地栽培(レモンバーム)

レモンに似た香りが漂うレモンバームは4月に定植。ミントやカモミールと混ぜたハーブティは当園の人気商品だ。

定植

定植

土の温度が低い季節はビニールのカバーをして定植。野菜のような畝を作らず、ハーブがのびのびと育つような露地に。

苗作り

苗作り

2棟あるビニールハウスの中では直採取した種を使って苗作り。育苗ポットで育つ苗を求める注文もあるそうだ。

農家と料理研究家の畑対談 「国産ハーブをもっともっと身近に使いたいですね」 ハーブを作る人と使う人。両者が出会って本音のハーブ談義が交わされました。

  • 若井 - 個人でこれほどたくさんの種類のハーブを栽培されるのは珍しいことです。一番苦労されたことはなんですか?
  • 福山 - 当初は教わる人がいなかったので、種や苗が思うように手に入らないことが大変でしたね。何しろカモミールと雑草を間違えたこともあるくらいですから(笑)
  • 若井 - そんなところから、ここまで大きな農園に育てられたなんてすごいことですね。今一番注目されているハーブはなんでしょう?
  • 福山 - 今はエスニック料理の人気でパクチーの注文が多いです。実は化粧品メーカーからもいくつかの種類のハーブを注文いただいています。植物由来の自然派化粧品メーカーです。
  • 若井 - ハーブは食用だけでなく化粧品や医療の分野でも幅広く使われますからね。ところで、福山さんご自身がお家で作るハーブ料理ってどんなものでしょう?
  • 福山 - 最近は茶そばにパクチーをどっさりのせ、そばつゆとわさびを合わせて食べたらとてもおいしかったです。あと、ふだんからさんまの煮つけなどにはローズマリーを入れます。しょうゆとハーブも結構あうんですよ。
  • 若井 - ああ、おいしそう! 私も常々ハーブと家庭料理の組み合わせを考えているんです。日本の食卓にもっと気軽にハーブを取り入れたいなって。肉じゃがとローズマリーもおいしいんですよ。
  • 福山 - もっともっとハーブを使った家庭料理を考えてくださいね。
  • 若井 - ねぎやしょうが、みょうがのように薬味感覚で気軽に使うハーブ料理、提案していきます。それから、これから人気の出そうなハーブはありますか?
  • 福山 - 「セルバチコ」という品種の注文が増えてきています。ワイルドルッコラと呼ばれることもありますが、ルッコラとは別種。絶妙なほろ苦さがおいしいですよ。
若井めぐみ

「ハーブをめぐる料理家」として各地のハーブ生産地を訪問しながらハーブの新しい使い方を研究。東京東麻布でハーブの普段使いを提案する「お料理教室ヴェールエクラタン」を主宰。癒し効果やデトックス効果のある ハーブの魅力を紹介する、まさにハーブ料理の伝道師。
http://www.vert-eclatant.com

  • 若井 - 確かにレストランで見受けますがスーパーでは見かけませんね。一般家庭でももっと多様なハーブが買い求められるといいですね。私はベランダで数種類のハーブを育てているのですが、足りないときはやはりお店で買い求めるのです。購入したハーブを長く持たせるコツはありますか?
  • 福山 - 家庭のことはよくわからないけれど…。どんどん使ってもらうのがいいなあ(笑)
  • 若井 - そうですね(笑)。私のお料理教室では濡れたキッチンペーパーに包んでからラップをして冷蔵庫に入れると7〜10日位は持つと紹介しています。
  • 福山 - そうなんだ(笑)。いずれにしてもハーブの香りは和洋中の料理、お茶、カクテルなどいろいろな場面の引き立て役になります。もっと自由に使ってほしいですね。

若井さんが取材後にさっそく作った
「パクチーそば」

福山久之

ハーブスマン’s農園代表。東京都出身。放浪の旅で出会ったハーブに魅了され、栽培農家へ新規就農した、いわば国産ハーブ栽培のパイオニア。奥さんと息子さん、お母さんとの4人暮らし。

ようこそ、伊勢丹新宿本店「Kitchen Stage by Kai House」へ!

「Kitchen Stage by Kai House」は2〜3週間ごとにさまざまなジャンルの人気料理人や料理研究家たちが考案したメニューをご提供するスペースです。「お店で味わったあの味を家でも作りたい」と思っていただけるように、調理のポイントに加え、どんな食材や道具を使用しているのかもレシピなどでわかりやすくご案内しております。ぜひ一度、お越しください。

伊勢丹新宿本店

「Kitchen Stage by Kai House」6月〜8月の予定

  • 6/17(水)~6/30(火)

    バスク料理 渋谷〈サンジャン・ピエドポー〉
    和田直己シェフ
    和田直己シェフ

    昨年、キッチンステージ初登場だったバスク料理の“サンジャン・ピエドポー”。好評につき今年もお願いしました。「食はバスクにあり」といわれる魅力的な前菜の盛り合わせの後は、ピペラードソースでいただく豚肩ロース肉のコンフィ、または帆立や野菜たっぷりのガンバス(有頭海老)料理を。和田シェフの作る本格的なフレンチバスクの数々、今回も皆さまの期待に応えます。

  • 7/1(水)~7/14(火)

    ペルー料理 新橋〈荒井商店〉
    荒井隆宏シェフ
    荒井隆宏シェフ

    初めての方も多い南米ペルー料理。実は日本人の味覚に合う優しい味のものがたくさんあり、やみつきになるファンが増えています。「辛くないよ」「豆ばっかりじゃないよ」とペルー料理の魅力を語ってくれた荒井シェフが作るセビーチェやパパ・ア・ラ・ワンカイナーなどなど、「初めましての味」をぜひキッチンステージで!家庭料理に役立つエスニックのスパイス使いも学べます。

  • 7/15(水)~7/28(火)

    中華料理 代々木上原〈ジーテン〉
    吉田勝彦シェフ
    吉田勝彦シェフ

    いつも安心のおいしさ、代々木上原“ジーテン”の幸せの味が、今年も新宿伊勢丹キッチンステージにやってきます。化学調味料を使わない優しい前菜3種盛りの後は、麻婆豆腐や揚げ肉団子の黒酢あんかけに雑穀ご飯とスープなどのメインプレート。最後に甘いひと口デザートもご用意しました。おやつにはヘルシー冷やし担々麺という嬉しい選択肢もあります(14時から提供)。

  • 7/29(水)~8/18(火)

    日本料理 恵比寿〈賛否両論〉
    笠原将弘料理長
    笠原将弘料理長

    暑い夏の3週間は、お馴染みの恵比寿“賛否両論”の和食でお待ちしています。伊勢丹も伊勢丹のお客様も知り尽くしている笠原シェフにお願いした今回のテーマは「ワインに合う和食」。キッチンステージのためのオリジナルメニュー、想像を超える完成度です。2015年の夏は“ワインで和食”を愉しんでいただけるよう、レシピもしっかりお届けします。

  • 場所:東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿本店 本館B1 明治通り側エレベーター前
    10:30〜20:00(L.O.19:00)
    ☎03-3352-1111(伊勢丹新宿本店 大代表)
    メニューについては、伊勢丹新宿本店ホームページ内
    URL http://isetan.mistore.jp/store/shinjuku/floor/main_b1f/foods/index.html
    ※都合によりスケジュール・メニューの一部が変更になる場合がございます。

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