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季節の食にまつわることをお届けします 旬の食レポート

2015 Winter

健康で味わい深い「野菜」とは 毎日食べる食材だからこそ、安心できる土壌ですくすく育ったおいしい野菜を選びたいもの。そんな野菜選びの選択肢の一つとして、全く新しい農業のスタイルを取材しました。

おいしい野菜を作る!新しい農業の現場へ

ふだん私たちが野菜を買う場所は近所のスーパー、顔なじみの八百屋さん、郊外の直売所や道の駅などさまざま。その中で今、「農家直送宅配」という新形態が注目されています。購入の手間が省けるメリットに加え「安心」「おいしい」というのがその人気の理由です。しかし、安心・健康、おいしさ、有機栽培、無農薬といった言葉は、農業の現状や栽培方法などを知らない私たちにとって実に曖昧。「なんだか良さそう」といった程度です。そこで今回は、野菜作りの現場へ。スタッフ全員が農家とは無縁の育ち、長じて農業の魅力に気づき、改めて野菜作りを学んだという茨城県の「久松農園」。代表の久松達央さんと料理家の先生に、おいしい野菜について語っていただきました。

Report! 野菜を作る人×料理する人 当たり前で画期的!小さな農家のおいしい野菜作り

理想は八百屋みたいな農家

緑の濃淡がまるでパッチワークのような久松農園の畑。1畝(ひとうね)ごとの野菜の種類、成長の違いがこんなに美しい風景を作る。 緑の濃淡がまるでパッチワークのような久松農園の畑。1畝(ひとうね)ごとの野菜の種類、成長の違いがこんなに美しい風景を作る。
中本 - それにしてもいろいろな野菜が育っていて、まるでパッチワークみたいな畑ですね。
久松 - 約5haの畑に、年間50種類ほどの野菜を植えています。パッチワークのように見えるのは数畝ごとに異なる種類の野菜が植わっているから。同じ野菜も収穫時期を一週間ずつずらすように植えるから色味が違ってきますね。
中本 - え、同じ野菜も種まきの時期をずらすんですか?
久松 - うちは個人のお客さまや都内の飲食店へ直接販売していますから、常に新鮮な野菜を途切れず出荷できるように、種まきや収穫時期をずらしているんです。
中本 - それはすごい! 北海道生まれの私には、初めて見る風景です。でもそれって大変でしょう。大型機械は入らないし。
久松 - 作業効率は悪いけれど、逆にコンパクトで収益的にも無駄がない。私たちの理想は町の八百屋さんみたいな農家なんです。いつでも旬の野菜が届けられる小回りの利く農家ですね。
中本ルリ子さん

中本ルリ子さん

料理研究家。東京世田谷「上野毛クッキングサロン」主宰。わかりやすく簡単に作れるレシピには定評があり、歯に衣着せぬ軽快トークでTVをはじめ各メディアに多数出演。女性の美と健康にフォーカスした商品をレシピ監修し、飲食店のメニュー開発コンサルタントに従事。
http://www.kitchen-t.jp/profile/index.html

久松達央さん

久松達央さん

株式会社久松農園代表。慶応義塾大学卒業後、大手企業に就職したが農業にあこがれ、1年の農業研修を経たのちに転職。有機農業がまとう曖昧なイメージをバッサリ切る論理的な見解が話題となり、大学や農業関係者からの講演依頼も多い。他農場の運営サポートなどもおこなう。著書に「キレイゴトぬきの農業論」(新潮社刊)
http://hisamatsufarm.com/

久松農園ならでは、の畑風景いろいろ

珍しいイタリア野菜「カーボロネロ」。日本名は黒キャベツ。生食ではなく、肉や豆と一緒に煮込むとおいしい。他農家や種苗メーカーなどと交流し、こんな品種を取り入れることも多い。

芽を出して3週間ほどの春菊は、まだネットの中で育つ時期。特別に外して見せてもらった。本当は防虫対策として外してはいけないのだけれど(さすがに、隣の高さ数センチの新芽の畝は開放禁止)。

「そろそろいいかな」と、ネットをはずすタイミングを待ちかまえるサボイキャベツ。収穫前には自然の風に吹かれ、太陽の日をたっぷりと浴びるのだ。奥にあるカーボロネロは、結球しない野菜。葉1枚ずつ出荷される。

右の2畝は「プチベール」という名の芽キャベツの仲間。青汁につかうケールと芽キャベツを掛け合わせたもので、チリチリした葉は甘い。茎からは芽キャベツ同様の芽を出すが結球はしない。

小さくいろいろ。パッチワークのような畑が安定して食卓に届ける秘訣。 小さくいろいろ。
パッチワークのような畑が安定して食卓に届ける秘訣。 野菜セット 野菜セット
旬の野菜が注文できる「野菜セット」。中身はお任せになるが、野菜の保存法やミニ知識のメモが同封されるので、珍しい野菜も無理なく料理できる。写真はMサイズ1回2,600円(税込)の一例、Lサイズは1回3,150円(税込)。他に毎週、隔週で届く定期便も人気。
中本 - 白いベールのようなネットをかぶせた畝はなんですか?
久松 - あれは若い野菜のための防虫ネットです。うちの農園では農薬を使わないので、虫が多い時期には葉がボロボロになってしまうからね。本当は風や日に当てて健康的に育てたいですから、しかるべき時期に外していますよ。
中本 - まるで子供を育てる親みたい! 無農薬の農業はそんな手間がかかるんですね。
久松 - うちの農園のモットーは「シンプル!」。四季を通して気候が穏やかなこの土地を、農薬や手の込んだ技術を使わずに耕し、種をまき、育てる。ごく当たり前のことを、当たり前にやることで、皆さんに喜んでもらえるおいしい野菜を作りたいのです。僕ら自身が大好きな農業を、楽しみながら続けていることも非常に大事だと思っていますが。
中本 - シンプルに、楽しみながら作る農業って新鮮な響きですね。確かに、にんじんもカブも生でかじってもすごく甘いわ。それでも天候不順などの影響で、野菜の出荷が滞ることはないのですか?
久松 - もちろん、思い通りにはいきません。それでもうちは市場へ大量出荷せず、レストランや個人のお客さまなどへ直接販売しているから。先にも述べたけれど、自分たちで栽培できる量を、しかも種類多く栽培するから1品目がダメでも他の品目がある。「野菜定期便」も必ず規定の量や品目をお届けできます。
中本 - それも画期的! 野菜は天候にすぐ左右されて自由に手に入らないものと思い込んでいました。品薄とか、値段の高騰とか当たり前だと。ところで、突然知らない新品目や、使ったことのない野菜が届くと戸惑う人もいるのでは?
久松 - 野菜定期便の箱には、必ずメモを入れます。野菜の保存法や使い方のアイデアなどね。またホームページにはうちの野菜を使った料理のレシピを掲載して、利用してもらっていますよ。
中本 - それはうれしい! 新鮮でおいしい野菜が安定して自宅に届くのは、毎日料理する主婦にとっては何よりですね。またさらに欲を言えば、日本中に久松農園さんのような農家が増えて、おいしい野菜が近所でいつでも手軽に買える日が来るといいなあ。
久松 - それはまた壮大な(笑)

お届け野菜の旬なレシピ Vege Recipin(HP内)

にんじんと春雨のナンプラー炒め

にんじん1本を千切りにしたらサラダオイルで炒め、しんなりしたら戻した春雨とツナ缶を加えて合わせ炒めます。仕上げに鍋肌からナンプラーをまわしかけ、塩、こしょうで味を調えて完成です。

芽キャベツのソテー

秋冬に届く芽キャベツは、シンプルなソテーに。オリーブオイルとにんにくで香りを立てたフライパンに、切り口を下にして並べ、塩をふって蒸し焼きに。仕上げはブラックペッパーとレモンで。

せん切りカブのゆかり和え

生食でも甘みを感じる久松農園のカブ。皮ごとせん切りし、カブ1個につき小さじ1/2弱のゆかりをふって、よく混ぜます。仕上げにしょうゆを3滴。削り節ぱらり。ゆかりもしょうゆもごく控えめに。

カーボロネロのトマト煮込み

刻んだカーボロネロの葉と茎を、合いびき肉と玉ねぎ、トマト缶、ワインで、クタクタになるまで煮込んだ一品。カーボロネロの存在感を引き立てるよう、たっぷりと使います。

ようこそ、伊勢丹新宿本店「Kitchen Stage by Kai House」へ!

「Kitchen Stage by Kai House」は2〜3週間ごとにさまざまなジャンルの人気料理人や料理研究家たちが考案したメニューをご提供するスペースです。「お店で味わったあの味を家でも作りたい」と思っていただけるように、調理のポイントに加え、どんな食材や道具を使用しているのかもレシピなどでわかりやすくご案内しております。ぜひ一度、お越しください。

伊勢丹新宿本店

「Kitchen Stage by Kai House」 11月~2016年1月の予定

  • 11/14(土)~11/17(火)

    ラトビア〈ヴィンセント〉
    マーティンス・リーティンシュ氏
    マーティンス・リーティンシュ氏

    ラトビア共和国を代表するレストラン「ヴィンセント」のトップシェフで、地産地消によるスローフード運動の立役者でもあるマーティンス・リーティンシュ氏が来日。今回は4日間限りの特別な料理をキッチンステージのために考案。世界各国の首脳や名だたるアーティストたちの舌を満足させてきた、シェフの芸術的な味わいをお楽しみください。

  • 11/18(水)~12/1(火)

    京都・丸の内〈イル ギオットーネ〉
    笹島保弘シェフ
    笹島保弘シェフ

    京都でもっとも予約が取りづらいといわれるイタリアンの名店「イルギオットーネ」が約3年ぶりに登場します。『日本の秋の収穫祭』をテーマに、豆類や雑穀を使ったプレートや京野菜を活かしたメニューをご紹介。シェフの遊び心と感性が光る料理の数々をぜひご堪能ください。

  • 12/2(水)~12/25(金)

    人形町〈イレール 人形町〉
    島田哲也シェフ
    島田哲也シェフ

    『自然と素朴』をテーマにしたビストロを経営する島田哲也シェフ。季節の野菜や日本各地の食材を活かしたシェフの料理はどれも魅力的。今回年末のパーティシーンに花を添える牛肉や魚介類を使ったメインを中心に、彩り美しいコース料理をご紹介。シェフならではのアイデアで、さまざまなパーティシーンに応用できるレシピをご紹介します。

  • 12/26(土)~2016年1/5(火)

    キッチンステージシェフ 柬理美宏氏
    柬理美宏シェフ
    柬理美宏シェフ

    キッチンステージのシェフとして、日本のトップシェフたちと共に料理を提供してきた柬理美宏シェフ。さまざまなジャンルのシェフの技や料理法を学んだ柬理シェフが紹介するのは、肉または魚にブルグールピラフや紅いものポタージュが盛られた彩り豊かなワンプレート。年末年始の忙しい時期にホッと一息つける、贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

  • 場所:東京都新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿本店 本館B1 明治通り側エレベーター前
    10:30〜20:00(L.O.19:00)〈12/31(木)~2016年1/2(土)はお休みさせていただきます〉
    ☎03-3352-1111(伊勢丹新宿本店 大代表)
    メニューについては、伊勢丹新宿本店ホームページ内
    URL http://isetan.mistore.jp/store/shinjuku/floor/main_b1f/foods/index.html
    ※都合によりスケジュール・メニューの一部が変更になる場合がございます。

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